夕顔(源氏物語)



 五条のあたり、夕顔の花の咲き乱れる粗末な家に住むおっとりした美しい女性(夕顔)のもとへ身分を隠して通ううち、彼女がふといなくなるのではと思い、とりあえず近くの隠れ家に連れ出しました。そこはたいそう荒れ果てて妖怪の好んで住みそうなところ、夜、御息所の生霊のおそろしさのためにあえなく息を引き取ってしまいました。