末摘花(源氏物語)

 夕顔に先立たれて、年月を経てもその面影を追い続ける源氏でした。

 あるとき、乳母子の大輔の命婦の話に故常陸宮が寵愛した末子の姫君が琴を友としてひっそり暮らしていることを聞き、その荒れ果てた屋敷へ通い始めました。

 文等を遣わしても返事もなし。あるとき襖越しに話しかけても、思った程会話がはずまないことに業を煮やした源氏が、襖を押し開けて這入ってしまいました。